奇跡の贈り物。信じる男、ビニー

奇跡の贈り物。信じる男、ビニー
柔實会会長 二宮秀生   (タカラレーベン西日本 代表取締役会長)

 『信じる男、ビニー』と言うノンフィクション映画を見た。プロボクシングの世界で世界チャンピオンとなり栄光を手にしたボクサー、ビニー・パジェンサは交通事故で首を骨折する。生死をさまよい目覚めた時は病院で植物人間の状態である。医者からは一生車いす生活を宣告され、歩行が出来たら奇跡だと診断される。覚醒したビニーは医者の診断を受け入れることが出来ない。手足は動かないが復帰したい気持ちのところから始まる。願望と失望の繰り返し、焦燥感で始まるリハビリは手足がぴくぴく動くところから始まる。気力・精神力が先行するリハビリが始まる。強い意思(気力)は神経まで再生させると言うのだろうか。厳しいリハビリで、立ち上がることが出来るようになる。復帰を絶望視した周囲の人々が離れていく中、ビニーは再びリングに立つことを目指す。しかも世界チャンピョンに返り咲くことを目指すのだった。

 再起を決意した彼は行動を起こす。ビニーにとってはリングに立つ事だけが生きる目標となった。何が何でも再起する。再起できないのなら死んだ方がまし、再起の決意は命がけだった。周囲に隠れて首を固定したままのトレーニングが始まる。最初は反対していたトレーナーのケビンもビニーの決意と執念に負けて応援するようになる。人はやる気のない者を見捨てるが、必死で努力している人を応援したいものだ。過酷なトレーニングに励み、再び王座に君臨すべく必死に努力を重ねて再び世界チャンピョンに辿り着く奇跡の映画です。私はスポーツでも仕事でも、心技体の心(決意)が先だとだと思っている。やる気・負けん気という心(気合い)が無い者は何をやっても上手くいく筈がない。心さえ強く持てば肉体的ハンディーも技術的ハンデーも克服することが出来る。必死の者には神様から奇跡と言う贈り物が準備される。スポーツだけでなく仕事だって経営だって奇跡が起こる。

 再起をかけたタイトルマッチがまた見ものである。前半は押されぎみのビリーだったが、後半になって悪魔に取りつかれたような反撃に変わる。体力気力の限界の中、正気なのか失神なのか、夢うつつ状態の試合中、ビリーの脳裏を地獄の道のりが走馬灯のようにめぐる。後半に入り双方肉体の限界に達してからの戦いは心技体の心、意地と意地、根性と根性、祈りと祈り、精神力(気力)の戦いとなる。ビニーの強い気力が相手に勝り、奇跡をもたらすと言うストーリーである。これはノンフィクションドラマである。誰もが再起不能と思う中、トレーナーと二人三脚で王座奪還を目指す姿は、身体の不自由な人には勇気を与え、我々健常者には平和ボケした日々の生活に羞恥心を与える。向上心の無いマンネリの日々に罪悪感すら覚える。元世界チャンピオン、ビニー・パジェンサの生きざまを描くヒューマンドラマである。