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『遠くを見る』 : 松山大学柔道部・柔實会

『遠くを見る』

『遠くを見る』

 昨夜、柔道の野村忠宏選手の3歳から40歳の引退までの37年間の柔道人生スペシャル番組を見た。彼は男子60キロ級で5輪3連覇を成し遂げている。この時代は柔らちゃんこと谷亮子が目立ち新聞紙上では谷亮子の結果のみが注目を浴びていた時代だった。彼の生活環境は柔道一家であった。祖父は地もとで柔道師範、叔父も金メダリスト、父は天理大学監督、兄も柔道コーチ、彼は小学校に上がる前から柔道を習い始めている。体重が軽く試合にも出して貰えなかったという。子供のころは女の子に負けて泣いていたと言う。

そんな彼がなぜ40歳まで現役生活をやり続けることが出来たのか。それはそれを支える柔道観(仕事観・人生観)が確立していたからだと思う。何のために柔道をするのか。先ず強くなること。先ず勝つことから始まる。5輪3連覇の後の彼は柔道を勝つことから極めることに価値観が変化してきている。極めることから本物の柔道の普及に価値観が変化してきている。

番組では過去を回想して語ってくれた。小さい選手が勝つためには『組まない柔道』に気付いた時だった。父親から『今の勝ちを続けるのなら今のやり方で良いぞ。世界で勝ちたいのならしっかり組んで戦え。今は負けても良い。今ここで勝ちたいのか、世界で勝ちたいのか。どうなんや。』と言われたと言う。遠くの大きな目標の大切さに気付いた時だった。父親は本物の指導者だと思う。本人に気付かせる。指導者の仕事は気付かせること。その気にさせる名人なのかもしれない。

 仕事でも同じことが言える。早く強くなりたいと同じように、一日も早く一人前になりたい。雑用から解放されたい。価値ある仕事がしたい。認められたい。新人は焦って失敗したり勝てないことに腐ったりする。投げられても投げられてもは仕事だって同じだと思う。仕事だって将来勝つために正しい取り組みをすることが大事ではないだろうか。雑用の中から学ぶ。人脈づくりや同僚との協調の中から多くの知恵を貰う。仕事だって20年後の大きな勝利を目指すべきだと思う。

若い頃に頭角を現した人が晩年成功しているとは限らない。頭のいい人が勝つとは限らない。すばしっこい人が勝つとは限らない。ウサギとカメの競争ではウサギではなく亀が勝っていることの方が多い。すばしっこいウサギはカメを馬鹿にしてサボった。なぜならウサギはカメを見て走ったからだ。亀は目標を見て歩んだ。殆どの勝者は辛抱強い粘り強い者が勝っている。大器晩成と言うやつです。『燕雀鴻鵠の志しを知らずや』である。

会社は社員に目先の成果を要求する。目先の成果をこなしつつも社員は遠くの山を目指してしっかり一歩ずつ登っていく必要がある。遠くの目標、人生を通した目標、すなわち仕事観を持たなければならないと思う。それ以上に指導者は遠くの大きな目標が大切なことに気付かせる大事な役目がある。指導者の仕事は部下に気付かせることだと思う。