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教育のあるべき姿 : 松山大学柔道部・柔實会

教育のあるべき姿

教育のあるべき姿                    柔實会会長  二宮秀生 〈株式会社タカラレーベン西日本 代表取締役会長〉 

 中央教育審議会から高校教育・大学教育についての答申が出た。今から約100年前、明治初頭の近代大学の黎明期、教育改革を提唱した人物がいる。柔道生みの親である嘉納治五郎である。彼は古武道の柔術を理論化し、学問的に系統化した。兵庫県から上京し自ら東京大学に在席し虚弱体質を克服する為に柔術を学んだ。東京大学に学ぶ士族の子弟たちの乱暴狼藉を見て、これから日本を背負う若者は知識だけではいけない、人格形成が必要であると明治15年柔道の道場である講道館を開設した。当時の講道館柔道は12畳から始まっている。講道館柔道は柔道を通して己を完成し、世を補益すること(社会に役立つこと)が柔道修業の究極目的であるとした。精力善用、利他共栄、心技体の始まりである。

 先日これからのあるべき教育について、中央教育審議会から高校教育・大学教育の在り方について答申が出た。答申によると第4次産業革命が起こりAI(人口頭脳)の普及がある。AIはもうすでに接客案内や介護の世界で導入され始めた。量子コンピューターが実用化され自動車の自動運転が出来る。知識は大事であるが、これからは知識の詰め込みだけでは役に立たなくなってくる。これからの教育の目指すものとして、①知識をベースにして、問題解決に向かって協働する力(協調性)②自分の考えを表現する力(度胸)③クリエイティブな思考力(閃き)を3本柱に挙げている。それは我々企業にとって必要な社員の資質である。我々はこのような人間を採用したい。弱肉強食の市場原理の中で戦える人格づくりが教育の柱になろうとしている。世界を相手に戦える日本人づくりを目指している。私はこれを見て、まさに講道館柔道が目指すもの、嘉納治五郎の理念回帰になっていると思う。