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リオ・オリンピックを見て : 松山大学柔道部・柔實会

リオ・オリンピックを見て

◆オリンピック速報
リオデジャネイロ・オリンピックが始まった。男子柔道73キロ級で大野将平が金メダルを取った。大野は寝技に立技に試合運びが鮮やかだった。先手先手での試合運び、巴投げの技術は抜群だった。決勝も文句なしの1本だった。柔道経験者だけでなく日本人なら久々にスカッとした感動を味わったと思う。その後の大野の経歴紹介で子供のころから家族ぐるみで彼の成長を見守っている。子供のころは試合に負けて悔し涙を流していたと言う。男女を問わず強くなるには負けず嫌いが必須資質のように思う。
女子57キロ級の松本薫も敗者復活戦で3位、銅メダルを取得した。メダル保持者の松本も苦しい4年間を耐えての復活となった。よく頑張ってくれた。その後、水泳に続いて体操男子団体もブチギリの金メダルだった。嬉しいことだ。勝者の裏には必ず敗者がいる。勝負事は冷酷である。敗者にとってこれまでの苦労を考えると気の毒である。忘れてはならないことは敗者に対する尊厳・惻隠の情である。勝者と同じように敗者にも辛い厳しい道程のドラマがあった筈です。
スポーツの祭典と言うが、戦う相手(国家)があると言う事で国威発揚になる。国民の不平不満の目をそらす為に、敵国を創ってごまかす手法は古今東西、政権維持の常套手段である。昨今、世界ではそのような手段をとる過激な国家リーダーが多い。スポーツも戦いである。戦争である。対戦国があると言う意味で国民の結束(愛国心)に大きな効果がある。
誰にとっても勝利までの道のりは厳しい。体力・技術力だけではない。当然にして資金力もいる。参加選手は種目における人間の資質を越えている。物理学・生理学・心理学などの科学力を駆使して、しかも組織力を駆使して勝利を目指しているからです。そういう意味でスポーツの強い国家(メダルの数)は富国強兵国家という事にもなる。メダル数は国力(経済力・軍事力)を意味する。負けるな日本!頑張れニッポン!

◆敵は強くなって戻ってくる
体操男子の個人総合決勝で内村航平が最後の鉄棒で大逆転の点数を出しロンドン五輪に続き金メダルを取った。演技が終わって歩けないほどの腰痛に襲われている。心身の負担は『もう二度とやりたくないです。全てを出しつくした優勝だった。』と告白している。
今朝の速報によると柔道男子100キログラム級で羽賀龍之が介銅メダルに輝いた。昨日の男子90キログラム級のベイカー茉秋(ましゅう・東海大)は準決勝まで一本勝ちで勝ち登った。決勝も有効を奪っての金メダルとなった。ベイカー茉秋は『母子家庭に育った環境だったので勝って母に恩返しが出来た。』との発言が印象的だった。
柔道女子70キログラム級の田知本遥(アルソック)は延長戦の末に相手を破るなど苦労に苦労を重ねて決勝まで勝ち進んだ。決勝戦は押さえ込みで金メダルを取り女子柔道初の金メダルとなった。五輪代表を逃した姉・愛さんの無念を見に事果たすことが出来た。姉・愛さんのうれし涙は二人で獲った金メダルのようにも見えた。
今回のオリンピックで日本勢は良く頑張っていると思う。これら勝者の裏には悔し涙の敗者がいる。悔しい思いをしたものは怖いものです。打倒(かたき討ち)の目標設定が出来たわけです。学生時代の八木隣一監督の『敵は強くなって戻ってくるぞ。勝って兜の緒をしめろ。』の言葉を思い出した。

◆リオ五輪、柔道最終日・超級
リオ五輪、柔道は最終日を迎えることとなった。超級はかつての無差別級で迫力のある存在感のある階級である。柔道男子は100キロ超級、女子も78キロ超級で最終日を迎えた。女子は準決勝で山部佳苗が前回の金メダリストでキューバのオルティスに挑戦して敗退し、3位決定戦では先行した技ありのリードを守って銅メダルを獲得することが出来た。これでこの階級は5大会連続でメダルを獲得している。
男子は世界ランキング2位の原沢久喜が順当に決勝まで勝ち上がった。準決勝ではウズベキスタンのアブドロ・タングリエフを攻め続け指導4(反則)で下した。決勝は金メダリストであるフランスのリネールとの戦いとなった。リネールは長身の2メートル4センチである。彼はロンドン金メダリストで世界選手権も7連覇中である。
原沢にしたら新旧交代、実質世界一の決着をつける時となった。決勝戦は指導の差で唐沢が破れた。組んで戦おうとする原沢に対して組まさない戦術のリメール。リメールは身長差でうまくアピール出来たと思う。柔道の試合のルールは変わった。組んで攻めて投げるに変わった。組んで戦えば原沢の方が上だと感じた。あと一歩だったと思う。プロレスラーの様な体格の世界の選手の中で、原沢は優しそうな普通の好青年、正々堂々とした日本男子らしい良い試合だった。
柔道男子はこれで全階級メダルを獲得したことになる。過去25年間停滞を続けた日本経済、世界で自信を失いつつあった日本人だったが、そんな日本人に自信を取り戻す試合となった。井上康生監督の勝利と言える。日本柔道は色々あった。指導者のパワハラなどで日本柔道は地に落ちた後の改革だった。
世界に危機が訪れた時、立て直しの役者(英雄)が登場してくる。日本柔道も同じだったと思う。混乱や危機は改革の好機でもある。わが松山大学柔道部も伝統を取り戻すべく改革が進んでいる。これから日本柔道は世界から追われる立場になる。守り続けるだけでも大変なのに、4年後に金メダルを獲得することはとても大変なことである。選手の皆さん、お疲れ様でした。
柔實会会長 二宮秀生