石浦外喜義(ときよし)氏の講演を聞いて

石浦外喜義(ときよし)氏の講演を聞いて
                                          柔實会会長 二宮秀生   
 鳥取県人会に参加し学校法人・矢谷学園・鳥取城北高等学校の相撲部総監督・石浦外喜義(ときよし)氏の講演を聞くことが出来た。彼はモンゴルからと全国の中学から身体能力のある子供をスカウトし優秀な力士に育てることでも有名です。同高校は『嘘のない稽古』を部訓として常に全国優勝を目指している。

 石浦外喜義氏は1985年・昭和60年・第40回鳥取国体のために石川県から招聘された人です。国体が終わって矢谷学園・鳥取城北高校の教師になった。その後、鳥取で結婚し相撲部を全国屈指の相撲部に育て上げた。指導者としての手腕を買われ現在では同高校の校長に就任している。琴光喜や逸ノ城など多くのモンゴル力士を育てていることでも有名です。昨夜は大相撲の新十両石浦(実子)と原田が来賓として会場に来場し、『プロになった今より高校時代の方が厳しかった』と告白し講演に花を添えた。石浦先生の話のポイントを以下纏めてみた。

 子供の育て方として 叩く・蹴る・投げるなど、手を出したらダメ。愛の鞭の指導から生徒が自ら『先生、強くしてください!』と言わせるようにする。悔しさで向かってくる相手はやりにくい。強くするには子供たちを本気にさせる事だと言う。負けん気が出てくる。指示命令指導から自主性重視の指導に変えていると言う。その結果、全国6大会・全ての全国大会制覇の偉業を達成できた。

 強くするにまず身体づくりを研究したという。ケガは指導者の責任、ケガの原因を徹底的に研究した結果、うさぎ跳びをやめさせた。ジュースやお菓子は禁止。甘いものを食べて太っている子供や偏食の子供は生活指導から始めるという。身体づくりが原点にある。飲み水が大事で最新の水を飲ますという。相撲より飯づくりが大事、栄養のバランスを考えてチャンコ鍋を徹底的に研究した。子供たちにちゃんこ鍋を作らせる。何のために手伝うのか。その心が分れば何をしても真剣になる。そしてケガをしない体づくりとケガをしない練習(集中力)を研究した。良いと言われるものは全て盗んできて取り入れたという。

親と言うものは自分の子供がかわいいので甘やかす。指導をきちんとする為、携帯電話の禁止で親と隔離することを考えた。携帯電話より相手の顔を見て話すことの大切さを納得させた。携帯電話の弊害を話すことで生徒は自主的に持たないという。学業と相撲について学業の成績が下がった生徒は指導者である自分の責任だと思っている。何でも話して聞かせる。その心は子供の気持をのせる為だ。何事にも本気にさせる。言う事を聞かない子供(素直でない子供)を諦めたら指導者である自分の負けだと思う。掃除の大切さ、相撲部員はトイレ掃除が上手である。指示命令でなく能力を引き出すことを自分の義務としている。両親から預かった者としての責任がある。子供が良くなれば親が喜び、家庭の雰囲気も良くなる。

鳥取城北高校には130人の野球部員がいる。野球は9人、相撲も頂点は1人、『うちの子を必ず選手にしてくれますか?』と父兄は石浦先生に詰め寄ると言う。石浦先生は答える。『お父さん、私が3年間預かる事で、たとえ選手になれなくても、一生役立つ大事ものがいっぱいあります。私が責任をもって育てます。子育てを私に託してみませんか。』と口説くと言う。スカウトマンは監督がやらなければならないと思う。そこには親と監督との真剣勝負(前哨戦)がある。監督の話は説得力が違う。迫力が違うからだ。子供を託して戴くと言う事は信頼される指導者であることだと思う。

勝った時と負けた時、勝った時は『みんな敵になったぞ。』と言い聞かせ、負けた時は『何が悪かった?』と反省させると言う。50年前松山商大柔道部の八木監督も同じことを言っていた。『勝った時より負けた時の方が得るものは大きい。勝って兜の緒を締めよ。』八木先生もやはり人づくりの人だったと偲ばれる。

 相撲を強くする大きなポイントは相撲道場の看板の通り『相撲は人づくり』の武道だと再認識した講演会だった。石浦外喜義校長のような指導者が日本中の学校の校長や学長になれば日本人はもっと良くなると思う。若者の指導や、部下の育成には熱意が不可欠、石浦外喜義校長の爪の垢でも煎じて飲まねばならない。会社だって同じである。熱意があれば思いは伝わる。伝わらないのは指導者に熱意がが無いからだと分かった。指導者(経営者)として私自身の勉強になった講演会だった。