全日本学生柔道連盟の理念 『礼節・自立・高潔・品格』
全日本学生柔道連盟の理念 『礼節・自立・高潔・品格』
平成28年度全日本学生柔道体重別選手権大会が10月1日と2日に日本武道館で行われた。わが母校松山大学からは66キロ級で斎藤大雅君と90キロ級で好永大輝君が出場した。OB会を代表して応援に日本武道館に来ている。鹿屋大学の浜田君も来ている。黒木先輩・嶌川君はいつも応援に駆けつけて戴いている。あの時の日本武道館は時間が止まったように私たちを迎えてくれる。勝ち上がる事の出来なかった私だが、ここには45年経った今でもあの時の感動がある。あの頃の自分の青春時代をここに見ることが出来る。頭の白髪や顔にしわが出来ても、試合を見ていると選手と一緒に体が動いてしまう。たぶんここで戦った者は同じような気持ちだと思う。
全日本学生柔道連盟の理念は、礼節・自立・高潔・品格を掲げている。どのスポーツも技と心において奥の深いものがあるが、柔道は武道と言う意味からほかのスポーツとは違った理念ではないだろうか。沖永連盟会長は選手の重圧を緩和するものとして学修を通して自己探求すべしと大会誌の挨拶文で述べている。強いだけではいけない、文武両道が大切で柔道がもつ理念が大切だと述べられている。確かに柔道マインドは変化してきている。
鹿屋大学の浜田教授によるフランス柔道の報告では、指導者資格を取得する基準が述べられていた。フランスの柔道の修行には『問答』があると言う。フランス柔道では汗を流して体力を付け技を磨く。問答を通して技のエビデンスを示す。問答を通して人格を磨くことになっていると言う。柔道指導者は学閥や有名校に偏ってはいけないと言っている。ただ練習をするだけ、ただ試合に勝つだけではいけないと言っている。全日本学生柔道連盟には柔道を通して明日を背負う日本人を育てると言う大きな大義があるように思う。
試合方法も随分変わってきた。カラー柔道着も板についてきたし、試合のルールも変わってきた。試合中にコーチがアドバイスの声をかけたら退場になると言う。試合は主審1人副審2人に対して、更に主審の判定が正しいかどうか審査員1人が付いている。その審査員はイエローカードとレッドカードを持っている。選手は4人の審判審査員に見守られて試合をしていることになる。
昔の判定では依怙贔屓な判定が多かった。そんな選手の不満に対して『一本取って文句を言わせない試合をしろ』が監督や先輩の回答だった。いずれにしても日本柔道もアカデミックになってきた。柔道の世界も随分進化発展してきた。柔道マインド『礼節・自立・高潔・品格』を持った柔道マンが社会人として企業人として、次の時代の組織を背負う人格者に成長してほしいと思っている。
柔實会会長 二宮秀生