『試合は指導者と指導者との戦い』
昨夜は柔道部後輩の浜田初幸君と酒を飲んだ。彼は自ら世界一になり田村亮子のコーチだったことでも有名です。現在は鹿児島の鹿屋体育大学に在籍し、世界を飛び回って活躍している。母校松山大学と郷土愛媛県にとっても誇りの男です。母校の柔道の現状、日本柔道・世界柔道と話は広がった。彼は自ら選手生活を経験し、母校の監督を務め、大学と世界で柔道を教えている。知識・見識、彼自身の勝負に対する哲学も知ることが出来た。私自身も小さい会社ではあるがリーダーとして指導者はどうあるべきか学ぶところが多かった。
彼は言う『団体戦は指導者と指導者との戦いですよ。』と。試合は試合をする前の前哨戦から始まると言う。相手校への威圧と駆け引き、選手たちへの鼓舞、審判に対する威圧、試合会場では選手たちが戦っているが、現実は指導者と指導者との戦いという意識だったという。敵対する指導者とは試合前にこやかに話をしながら短刀を突き付けている。指導者と指導者の人間力の前哨戦が始まっているという。敵を知り己を知れば・・・である。指導者の気迫と存在感『この男何を仕掛けてくるか』相手の監督を恐がせることも戦いだと言う。
外国で彼は日本柔道は『形と乱取りと問答』なのかと聞かれたという。意外だったのは問答である。新渡戸稲造が伝えた武士道に由来する。柔道はスポーツではない武士道(武道)なのである。柔道は勝つことだけではないのだ。人格形成が指導理念にある。そういう意味で問答が出てくるのだと思う。先日、私は学生たちの指導について監督に指導者の訓示・会話力を訴えたところだった。今回彼から聞いた『問答』と言う言葉で腑に落ちた。指導者は指導者の意思を問答によって選手たちに伝えなければならない。
道場には指導理念や訓示、名言格言やらが掛け軸や額で掲げられている。人格形成、人間づくりの為である。企業も人づくりと言われている。スポーツの指導者も経営者も指導者と言う意味では同じである。『成果も上がらない。勉強もしない。人間力も育たない。』では指導者に問題がある。私のことを言われているような気がした。企業では経営理念や経営指針・行動指針・スローガンがある。気迫と存在感で社員たちを勝利に引っ張って行くが私の責任です。企業の浮沈は私の責任、良い勉強をさせて戴いた。
柔實会会長 二宮秀生